リスニング指導における2つの基礎理論

❶ 言語理解に関する理論 Anderson(2010) <References>はコチラ

Anderson(2010)の言語理解に関する理論では、最下層から音素の識別、文法的区切れ、話者の意図理解と3段階あるとされています。

音素の識別とは何か?

音素の識別とは、音の最小単位であり、言語理解に関する最初の段階です。

非常に多くの学習者がこの段階で、わからなくなります。日本人英語学習者がリスニングを苦手とする最大の原因です。

文字であれば文字と文字の境界は明らかですが、リスニングの場合は前後の音素に影響を受けて、元々の音素は様々な形に変化します。その種類は多岐に渡り、同化(assimilation)短縮形(contraction)削除(deletion)脱落(elision)連結(liaison/ linking)変形(reduction)といった様々な種類があります。

文法的区切れとは何か?

文法的区切れとは、音素の識別の1つ上の段階です。音素の識別ができるようになると、文法的な区切れをひとつのかたまりとして聞けるようになり、リスニング能力はさらに向上していきます。

以下は、リーディングによる例ですが、文法的な区切れが意味の理解に影響を及ぼすことがわかる良い例です。

〈日本語の例〉
<英語の例>
Graff and Torrey(1966)

同じ内容であっても、正しい文法的な区切れの方が、理解度が高いのです。Jarvella(1971)Caplan(1972)Aaronson and Scarborough(1977)も同様の研究結果を報告しています。

このように、文法的なかたまりで聞けると更にリスニング能力は向上します。

話者の意図理解とは何か?

話者の意図理解とは、話者の意図や真意を理解することです。重要なことは話者が「何を話したのか」ではなく「何を意味していたのか」を理解することです。

というのは、「実際の発話」と「話者の意図」は、必ずしも一致するとは限らないからです。

❷ 情報処理に関する理論Schneider and Shiffrin, 1977

Schneider and Shiffrin(1977)は、人間の情報処理には下から制御過程と自動過程の2段階があるとしています。制御過程は意識しなければできない行動で、それを

繰り返し行うことで、徐々に意識しなくてもできる自動過程へと移行していく、

としています。

言語理解(Anderson, 2010)と情報処理(Schneider and Shiffrin, 1977)の2つの理論に基づくと、音素の識別に関する訓練を繰り返し行うことで、徐々に音素の識別が自動化され、文法的区切れを意識できる余裕が生まれます。さらに、文法的なかたまりを意識してリスニングを繰り返し行うことで、徐々に文法的なかたまりで聞くことが自動化され、話者の意図や真意を理解する余裕が生まれて

くるのです。

ここまで、2つの理論を紹介しました。

次に、可能であれば、そして必要に応じて学習者が中級であるかどうかを測定します。

測定方法

測定1:リスニング能力測定

このサイトで紹介している指導法は、中級(TOEIC®のリスニング・パートの得点が166~330点)を対象としています。

TOEIC®のリスニング・パート、又は以下の標準テスト*1を用いて、学習者のリスニング能力を測定します。

「標準テスト」とは、安価もしくは無料で入手可能で、なおかつCEFRや他の国際的に認知されているテストと互換性があるテスト

★TOEIC®を使う場合

TOEIC®のリスニング・パートは全問で100問ですので、各パートを半分または1/3を実施することで大まかなリスニング能力を測定できます。

CEFRのレベル」と「各種英語検定試験の得点」の比較

脚注・出典はコチラ

[1]“参考資料(TOEIC® プログラム各スコアとCEFRレベルの比較表)”. 国際ビジネスコミュニケーション協会.

[2]“「ヨーロッパ言語共通参照枠 (CEFR)」 と 「英語力検定試験」(PDF)”. ブリティッシュ・カウンシル.

[3] Dunlea, Jamie. “英検とCEFRとの関連性について 研究プロジェクト報告 (PDF) ”. 日本英語検定協会、p.8.

[4] “International language standards”. Cambridge English Language Assement.

[5] “IELTS Common European Framework”. Cambridge English Language Assessment.

[6] “Cambridge English – A range of exams to meet different needs(PDF)”. ケンブリッジ大学英語検定機構.

測定2:メタ認知能力測定

印刷してスグに使えるMALQ(メタ認知測定テスト) コチラ

学習者のリスニング能力が中級(TOEIC®のリスニング・パートの得点が166~330点)であれば、以下の指導法Aが有効です。

初級であっても理論的には以下の指導法Aが有効です。

上級であった場合、理論的には以下の指導法Cと合わせて、メタ認知の知識の指導が有効です。

「どの段階で何故、理解できなくなったのか」をピンポイントで指導する方法

言語理解に関する理論(Anderson, 2010)に基づいて、「どの段階で何故、理解できなくなったのか」がわかり、診断的かつ具体的に指導する方法

指導法A「音素の識別」段階でのつまずきかどうか診断する方法と指導法

診断方法

答えがわからなかったり、間違えた場合

ディクテーションをさせる。

手順1

ディクテーション

解答後、答えがわからなかったり、間違えた学習者に、正答するために必要な箇所のディクテーションをさせます。

*聞く回数は5回までと指導します。これはシャドーイングの研究結果ですが、5回までは聞く回数に比例して科学的に効果があるとの研究結果が報告されていますHori, 2007)。

*ディクテーションに必要な時間は学習者によって大きく異なるので、ディクテーションを予め授業の前に課題として、させてくる「反転授業」にすることで、授業時間を非常に有効に使えます。

灰色の語句は、正答するために必要な内容語です。     の語句は、その他の聞き取るべき内容語です。

例)Where is this conversation taking place?

正答

AIn an office
BIn an airplane
CAt a school office
DOn a train platform

Woman: What did you do with the customer record I gave you about an hour ago?
They were on my desk earlier this morning.

上記の部分は、正答するために最低限必要な内容語を含む部分ですので、ここまでのディクテーションで構いません。

印刷してそのまま使えます。音声はコチラ

【能力別 ディクテーション用紙】

手順2

ディクテーションが終了したら、オーディオ・スクリプト(音声を文字で表したもの)を配布して、聞き取ることができなかった内容語に蛍光ペンでをつけさせます。印刷してそのまま使えます。

正答するために必要な内容語が聞き取れなかった場合、
以下の2つの原因が考えられます。

①語彙力不足

聞き取れなかった単語を見ても、わからなかった場合、リスニング能力の問題ではなく、語彙力不足が原因です。

この場合は、単語の意味や品詞を指導します。その上で、以下の手順1から指導します。

②文字情報処理能力と音声情報処理能力の差

聞き取れなかった単語を見たらわかる場合、見たらわかる能力(文字情報処理能力)と
聞いてわかる能力(音声情報処理能力)に差があることが原因です。

この場合は、以下の手順3の様に指導します。

指導法
手順1

内容語と機能語

まず全ての単語が、内容語と機能語の2種類あることを説明します。目的は、リスニングの際のストレスと緊張を軽減するためです。学習者の多くは、リスニングの際、一言一句、全てを聞き漏らすまいと神経を集中させ、緊張する傾向があります。

しかし、実際には全て聞き取らなくても、内容は理解できるのです。そのことを学習者に指導して、

リスニングの際のストレスと緊張を、まず軽減させます。

内容語や機能語は、リスニング能力を向上させるためにとても重要な知識です。

内容語とは

「内容を理解するために必要な語」です。内容語は、以下の5種類です。

  1. 名詞
  2. 動詞
  3. 形容詞
  4. 副詞
  5. 5W1Hwho, when, where, what, why, how

機能語とは

「聞き落としても、内容理解に支障のない語」です。機能語は、内容語以外の語です。

それでは例を挙げて説明します。

内容語として表されている言葉は典型的な昔の電報文ですが、日常このようには発話しません。

チチガ キトクデスノデ スグニ カエレ/カエッテキナサイ」が、日常の発話に近いでしょう。

料金は、 文字数に応じて課金されたので、内容の理解に支障のない機能語が削除され「チチキトク、スグカエレ」と送信したのです。

このように内容語や機能語に関する知識がなくても、どの語が意味の理解と密接に関与しているかの知識は私達には生得的に備わっているのです。

内容語と機能語は英語にもありますので、全て聞き取らなくても理解できることを最初に指導することは、リスニングの際のストレスと緊張を軽減させる効果があり、とても重要です。

手順2
  1. 上記診断方法の手順で、ディクテーションをさせた後、オーディオ・スクリプト(音声を文字で表した

    音声はコチラ

    印刷してそのまま使えます。

    もの)を与え、聞き取ることができなかった内容語に、蛍光ペンでをつけさせます。

    【能力別 ディクテーション用紙】

  2. 聞き取れなかった内容語が読んでも(見ても)わからなかった場合は、赤で丸をつけさせ、品詞と意味を調べるよう指導をします。学習者の能力や授業時間に応じて、教員が指導しても良いでしょう。

    → この場合、聞き取ることができなかった原因は、語彙力不足。

  3. 聞き取れなかったけれど読めば(見れば)わかる、という場合は手順3に移ります。
手順3

見たらわかる能力(文字情報処理能力)と聞いてわかる能力(音声情報処理能力)に差があることが原因の場合

読めば(見れば)わかるということは、情報が文字で表わされた場合、意味のある情報として処理されることを意味しています。

一方、同じ語であっても、情報が音声で表わされた時に意味のある情報として処理できない場合は、見たらわかる能力(音声情報処理能力)と聞いてわかる能力(文字情報処理能力)に差があることがわかります。

そこで、音声情報処理能力と文字情報処理能力の融合を目的として、オーディオ・スクリプトを見ながら、音声を最低でも3回聞くように指導します。

この3回という数字には統計学的な根拠はありませんが、学習者が飽きずに連続して聞ける回数だと思います。

手順4

聞いてわかる能力(音声情報報処理能力)の養成

見なくてもわかることを目的として、今度は、オーディオ・スクリプトを見ずに最低でも3回聞くように指導します。

この時、学習者には目を開けておくように指導することをお勧めします。というのは、私の体験から、たまに不届き者がいて、時々この時間に居眠りをする者もいたからです。もっとも、目を開けているからといって、集中しているかどうかは、わかりませんが(笑)。。。

居眠り

学習者全員がスマートフォンやタブレット、イヤホンを持参して受講できる場合は、各自のペースで聞くように指導します。


以下は問題形式ごとの指導法です。
印刷してそのまま使えます。

指導法B「文法的区切れ」段階でのつまずきかどうか診断する方法と指導法

診断方法

学習者は大半が「音素の識別」段階でつまづいており、「文法的区切れ」段階でのつまづきはすくないのですが、「音素の識別」段階で、必要な内容語を全て聞き取れていたのにも関わらず、答えがわからなかったり、間違っていた場合

オーディオ・スクリプトを与え、文法的区切れであると思うところに斜線を入れさせて下さい。この時に入れる斜線の数をあらかじめ伝えることが大事です。斜線の数は学習者の能力に合わせて決めます。

文法的な区切れではない箇所に斜線が入っている場合、
文法でつまづいていることが考えられます。

指導法

学習者は大半が「音素の識別」段階でつまづいているので、「文法的区切れ」段階でのつまづきは少ないのですが、文法的区切れではない箇所に斜線が入っている場合、正しい文法的知識を指導します。

手順1

オーディオ・スクリプトを配布

手順2
文法的区切れであると思うところに斜線を入れるように指導します。この時に大切なのは斜線の数をあらかじめ伝えることです。以下は斜線の数が1本の例です。

正解:I couldn’t book a hotel/ which I wanted to stay.

文法的な区切れではない箇所に斜線が入っている場合、さらに「音素の識別」能力を強化するために「音素の識別」段階での自己学習を薦めます。
教材はインターネットで「ディクテーション」と検索すれば沢山でてきます。

「音素の識別」はできても、そのひとつ上の段階である「文法的区切れ」で聞くことができていないので少しずつ文法的な区切れで聞き取れるように意識するよう指導をします。

手順3
正解を見せます。

正解:I couldn’t book a hotel/ which I wanted to stay.

指導法C「話者の意図理解」段階でのつまずきかどうか診断する方法と指導法

診断方法

「音素の識別」段階で、必要な内容語を全て聞き取れており、「文法的区切れ」段階でもまとまりを持った文法的区切れの位置に斜線を記入できるけれども答えがわからなかったり、間違っていた場合

聞き取った内容を、日本語に「意訳」させる。

「意訳」が正しくない場合、「話者の意図理解」段階でつまづいていると考えられます。

指導法

正答するために必要な「背景的知識」や「推測」を説明します。

背景的知識

例えば、英国では ‘Were you born in a barn?’ という疑問文では、相手が「納屋で生まれたかどうか」を尋ねているのではありません。実際には「(入室後は)ドアを閉めなさい!」という意味(嫌味)なのです。

イギリスの納屋画像

左の写真のように、伝統的な納屋にはドアがないものが多いのです。

ですので、もし、納屋で生まれ育った人がいるのならば、ドアを開閉する習慣は当然身についていません。よって、最後に入室したのに、ドアを閉めない人に対しての皮肉を込めた意味になります。ちなみに、これは私がイギリスで大学院生時代に指導教官から実際に言われたことです。

当時、私にはこのような背景的知識がなかったので、話者の意図が理解できず “No, I was born at a hospital in Japan.” と返答してしまいました。

このように「音素の識別」段階や「文法的区切れ」段階で問題がなくても、「話者の意図理解」段階でつまづく場合もあります。そういった場合は、必要な「背景的知識」や「推測すべき内容」を、説明・指導する必要があります。


推測

上記は英語での例ですが日本語においても「背景的知識」や「推測」が必要な場合もあります。以下は日本語での例です。

例)3月末の大学の教員会議で。

教員A:「4月は、何日からですか?」
教員B:「1日からです。」
教員A:「そうきますか…」

カレンダー

教員Aの真意は「前期は、何日から始まりますか?」だったのです。どの月も必ず1日から始まるので、通常はこのような質問はしません。ですので、このような質問に対して、教員Bは教員Aの真意を推測する必要があったのです。

しかし、十分な推測能力がなかったために、最終段階である「話者の意図理解」段階でつまづいた例です。

実は、この教員Bは私だったのですが、「どの月も1日から始まるのに変なことを聞くなぁ」と思いながらも「1日からです」と答えた瞬間、
「ハッ!!」と話者の真意に気がついたのですが、「時、既に遅し」で「そうきますか」と言われてしまい、大変気まずい思いをしました。

このように「音素の識別」や「文法的句切れ」段階で全く問題がなくても、「話者の意図理解」の段階でつまづけば、リスニングの本当の目的である「話者の真意を理解する」ことに失敗してしまうのです。

リスニング・ストラテジーの指導

リスニング・ストラテジーとは「リスニング能力向上のコツ」です。

中級学習者(TOEIC®のリスニング・パートの得点が166~330点)の中でもTOEIC®のリスニング・パートの得点が166~249点であれば、ディクテーション指導が、250~330点であればリスニング・ストラテジーの指導がより効果的です。

ここで紹介されているリスニング・ストラテジーが全てではありません。また1~9の順番に重要ということではありません。
1~の順番で指導することが望ましいですが、5以降はどの順番でも構いません。

1. メモの取り方

2. スキミング

3. 談話標識

4. スキャニング

5. 文法

6. 背景的知識

7. 推測

8. 予測

9. 余剰性

1. メモの取り方の指導法

時間の長さが同じであれば、声で伝えられる情報量は

一般的に、書いて伝えられる情報量の約7倍といわれて

います。当然のことながら、声と同じスピードで書き留めて

いくことはできません。そして、人間の短期記憶容量は

非常に小さく、保持時間も非常に短いので聞いた瞬間に

理解できても、全てを記憶するのは、とても難しいのです。

上記の説明をした上で10人の生徒に、書き留めずに、

好きな色や食べ物、趣味を日本語で発表してもらいます。

そして、それまでに聞いた10人の好きな色や食べ物、趣味を書いてもらいます。
このアクティビティーを通して、「聞いて理解できる」ということと、「記憶できる」ということが必ずしも同じではないことを指導することができます。

その上で、「リスニング能力向上」には「メモの取り方」がとても重要であることが具体的に指導できるのです。短縮や数字、記号などを使って、メモを取るというリスニング・ストラテジー(リスニング能力向上のコツ)を指導します。メモは本人が書き、本人だけが見るので「どのようにメモを取ればよいのか」についてのルールや規則はありません。但し、漢字を用いることは、画数が多くメモを取ることの本質(素早く音声を文字にすること)から逸脱するので、使わないように指導します。

具体的には、以下の例を参考にして下さい。

印刷してそのまま使えるプリント1

印刷してそのまま使えるプリント2

2. スキミングの指導法

スキミングとは、大まかに内容を理解するということです。方法はいくつかありますが、そのひとつに、談話標識を使います。TVやインターネットでのニュースの場合は、映像やテロップから大まかな内容がわかりますが、音声だけの場合、談話標識はとても役に立ちます。

談話標識とは「話の流れがわかる語句」というリスニング・ストラテジー(リスニング能力向上のコツ)のひとつです。詳しくは、3.談話標識の指導法をご覧下さい。

談話標識の知識があれば、最初の部分で内容が大まかにわかります。なお、学習者のレベルに応じて指導する談話標識の種類や数を調整して指導します。

例)

  • Today our topic is…
  • The first thing to say about…
  • Let me begin by asking you to think about…
  • What I would like to emphasise today is…
  • We’re going to look at…
  • Today, I’m going to talk about…
  • My first question to you today is
  • We’re going to focus on…
  • Today, We’re going to discuss…
  • We’re going to explore…

3. 談話標識の指導法

談話標識とは「話の流れがわかる語句」というリスニング・ストラテジー(リスニング能力の向上のコツ)のひとつです。

談話標識を指導する最大の効果は2つあります。

●「途中で聞くのを諦めてしまうこと」を少なくする。

●聞き続ける動機を持たせること。

談話標識の知識があれば、最初の部分で内容が大まかにわかります。また、途中でわからなくなっても、話の流れが切り替わったところからでも聞こうと聞き続ける動機を持たせることができます。

例えば、For exampleと聞こえてきたら、「例え」に入ることがわかります。通常、「例」を話す時は、今までの内容がさらに分かりやすく説明されるので、途中でわからなくなっていても、談話標識の知識があれば、聞き続ける動機になるのです。

例え、最後までわからなかったとしても、まとめを表す談話標識を指導することで、まとめの部分だけでも聞く、という動機になります。

談話標識は数がとても多いので、学習者の能力に応じて指導します。以下は、談話標識の種類ごとの例です。

〈 メイントピックを表す談話標識 〉

  • Today our topic is…
  • The first thing to say about…
  • Let me begin by asking you to think about…
  • What I would like to emphasise today is…
  • We’re going to look at…
  • Today, I’m going to talk about…
  • My first question to you today is
  • We’re going to focus on…
  • Today, We’re going to discuss…
  • We’re going to explore…

〈 構成を表す談話標識 〉

  • Today’s lecture will be divided into two parts:
  • Today, you’ll hear three contrasting points of view about…
  • We’ll look at two aspects of…
  • There are four steps in…
  • I’m going to talk about three techniques…
  • We’ll look at five types of…

など

〈 順番を表す談話標識 〉

  • Firstly / First
  • Secondly / Second
  • Thirdly / Third
  • Finally
  • Lastly
  • Then
  • Next
  • After that

など

〈 話の流れが反対方向に進むことを表す談話標識 〉

  • However
  • But
  • On the other hand
  • In contrast
  • Conversely

など

〈 話の流れが同じ方向に進むことを表す談話標識 〉

  • And
  • Furthermore
  • Moreover
  • In addition
  • Also
  • In the same way
  • Similar to…/Similarly

など

〈 話が次に進むことを表す談話標識 〉

  • Next
  • Then
  • Moving on
  • Let’s move on to…
  • Another point/idea is…
  • Now

など

〈 例の説明が始まることを表す談話標識 〉

  • For example
  • For instance
  • ….such as…
  • An example of this is…
  • One example would be…
  • Let me give you an example of this…

など

〈 まとめを表す談話標識 〉

  • To sum up
  • To summarise
  • To conclude
  • Today’s main point(s)…
  • OK, so today we’ve looked at…
  • Let me wrap up with…

など

4. スキャニングの指導法

スキャニングとは、「迅速に特定の情報を検索する」「情報の取捨選択をする」ということです。

手順1

設問文の内容語に蛍光ペンでハイライトさせて、どのようなことが問われるのかを、事前に把握するよう指導します。

手順2

ハイライトすべき内容語をOver Head Camera(書画カメラ)などで提示し、誤った語を内容語としてハイライトしていれば、指導します。

手順3

ハイライトした内容語を見ながら音声を聞かせます。ハイライトした内容語が聞こえてきたら、答えを聞き取ることができるのです。これがあらかじめ「迅速に特定の情報を検索する」ことや「情報の取捨選択をする」ことで、必要な情報だけを得る(スキャニング)ということだと指導します。True or FalseMultiple Choice(多肢選択)など問題形式が異なってもより簡単に答えられるようになります。

以下は問題形式ごとの指導法です。
印刷してそのまま使えます。

5. 文法の指導法

全ての語句がハッキリ、明確に発音されるわけではなく、また静かな教室や試験会場とは異なり、実社会では周囲の雑音などで明瞭に聞き取れない場合もあります。ハッキリ、明確に発音されていなくても、「文法」知識を活用することで、聞き取りにくかったり、わかりにくかった部分を補うことができます。

文法の重要性を指導する際、「リスニングは、単純に音声だけによるものではなく、『文法』を活用すればわかることもある」と指導します。

印刷してそのまま使えます。

6. 背景的知識の指導法

「背景的知識」とは、「あることについての知識」を意味します。Anderson2010)の言語理解に関する理論において、最終段階である話者の意図理解段階で必要とされる場合があります。「音素の識別」や「文法的区切れ」の段階でのつまづきがなくても、「背景的知識」がない場合、最終段階である「話者の意図理解」で理解できなくなることがあります。

興味深い点は、例え日本語で読んだり、聞いたりした知識であっても、リスニングに役立つのです。ですので、直接的には関係がないように思えますが、例え日本語であっても色々な本を読んだり、ニュースを聞いたり、動画を見たり、旅行に行ったり、多くの人と話したりして背景的知識の重要性を指導します。

具体的な指導として、まずMALQの以下の項目を活用します。学習者の能力に応じて項目数を選び、意識するよう指導します。

7 知っている内容と比較しながら聞く。
9 経験や知識を、理解するために用いる。
10 事前に何について聞くのかがわかっている時は、その内容に似ていることを思い出す。
17 わからない単語を理解するために、一般的な知識を用いる。
19 わからない単語を理解するために、今まで聞いたことや見たことを用いる。

背景的知識を活用した指導法 印刷してそのまま使えます。(学生版)(教員版)

7. 推測の指導法

リーディングでは、「行間を読む」ことが時として必要なように、リスニングでも、必要な情報が全て与えられているとは限らず、「推測」が必要な場合もあります。Anderson2010)の言語理解に関する理論においての、最終段階である「話者の意図理解」段階で必要とされるストラテジーです。

例を見てみましょう。

推測を活用した指導法 印刷してそのまま使えます。(学生版)

印刷してそのまま使えます。(教員版)

例はコチラ

推測エクササイズシート

正答である “bathroom”という単語は一度も出てきませんが、steam, soap, towel, splashという語句から推測することで、“bathroom”であることがわかります。

同様に、直接「本を浴槽に落としてしまった」という表現はありませんが、Splashという語から推測することにより何が起こったのかがわかります。
この段階で、「リスニングは、単に音声だけではなく、推測が必要な場合もある」と指導することが重要です。

推測の指導と同時に、「推測の修正」も指導します。推測した内容がおかしいなと思ったら、固執せずすぐに考えを切り替える、という「推測の修正」が必要です。

MALQの13番目の項目〉

13 推測した内容がおかしいなと思ったら、すぐに考えを切り替える。

推測の修正の指導法  印刷してそのまま使えます。(学生版)(教員版)

8. 予測の指導法

「予測」とは、「これからどんな内容を聞くのか、予め考えてから聞くこと」を意味します。タイトルや写真、挿絵、グラフなどがあれば必ず目を通し、「経験や知識をもとに、これからどんな内容を聞くのか、予測してから聞くこと」を指導します。

「予測」と「背景的知識」は密接に関係していて、「予測」の指導法は「背景的知識」の指導法としても活用できます。

印刷してそのまま使えます。音声はコチラ

9. 余剰性の指導法

「余剰性」とは、「繰り返し」を意味します。

リーディングの場合は、読むスピードをコントロールできます。

理解できないところがあれば、何度でも読み返すこともできます。

しかし、リスニングの場合は、聞き手は通常スピードをコントロールできません。また、理解できないところがあっても、録音されていない限り、納得のいくまで何度でも、聞き直すこともできません。

ですので、音声による伝達方法の欠点を理解している良い話し手は、重要な内容を繰り返したり、スペルを言ったり、表現を変えたり、大きな声でゆっくり話したりするのです。

「余剰性」を指導する最大の効果は「聞くのを諦めずに聞き続けること」、その動機を持たせることです。

「余剰性」の知識を指導することで、例え途中でわからなくなっても、「繰り返し」を期待して、聞き続けてみようという気持ちにさせる効果が期待できます。

印刷してそのまま使えます。

リスニングにおけるメタ認知の指導

Q

メタ認知とは?

A

リスニング能力向上に不可欠なもの

初級中級前半の学習者

リスニング能力の向上に、メタ認知は不可欠ですが、初級学習者(目安として、TOEIC®のリスニング・パートの得点が165点以下や中級前半学習者(目安として、TOEIC®のリスニング・パートの得点が166~249点)には、効果はあまり期待できません。

それは、音素の識別能力がまだ制御過程にとどまっているため、指導されたメタ認知スキルが「消化不良」となる可能性が高いからです。

そこで、初級学習者や中級前半学習者には以下の項目を意識するように指導します。学習者の能力に応じて指導する項目数を調整して下さい。

MALQ
項目番号
内容
2 わからなくなった時は、より集中する。
6と12
集中力が散漫になったら、すぐにまた集中する。

中級後半学習者

中級後半学習者(目安として、TOEIC®のリスニング・パートの得点が250~330点)は、音素の識別能力が、自動過程に移行しかけているため、メタ認知スキルを活用する余裕が出てきていると考えられます。

同時に、音素の識別能力が、完全に自動過程に移行している訳ではないので、一度に多くのメタ認知スキルを指導するのではなく、能力に応じて指導する項目数を調整する必要があります。

具体的には、MALQの中の以下の項目を指導します。以下は、リスニング能力向上者に共通していたメタ認知スキルです(Ueda, 2015, p.81, p.118)

計画

MALQ
項目番号
内容
1 聞く前に、どのようにして聞くのか頭の中でプランを立てる。
10 聞く前に、トピックやタイトルがわかっている時は、以前聞いたことがある同様の内容を思い出す。

内省

MALQ
項目番号
内容
14 聞いた後に「どのようにして聞いたのか」「次回はこんな風に聞こう」などを考える。

問題解決

MALQ
項目番号
内容
7 知っている内容と比較しながら聞く。
9 経験や知識を使う。
17 わからない単語を理解するために、一般的な知識を使う。

上級学習者

上級学習者(目安として、TOEIC®のリスニング・パートの得点が331~495点)は、音素の識別能力が、ほぼ自動過程に移行しているため、メタ認知スキルを十分に活用する余裕が出てきていると考えられます。

しかし、一度に多くのメタ認知スキルを指導するのではなく、数回にわけて指導する必要があります。具体的には、まず初級学習者や中級前半学習者用のメタ認知スキルを指導します。そして、次の授業で中級後半学習者用のメタ認知スキルを指導します。

最後に、以下を指導します。

問題解決

MALQ
項目番号
内容
5 知っている単語を使って、わからない単語を理解する。
13
推測した内容がおかしいと思ったら、すぐに考えを切り替える。
19
わからない単語を理解するために、今まで聞いたことや見たことを用いる。

内省

MALQ
項目番号
内容
20
リスニングの最中に、こまめに理解できているか自己チェックを入れる。
21
目的意識を持って聞く。

実験から明らかになったこと(Ueda, 2015, pp.139-140

  1. 中級前半学習者(TOEIC®のリスニング・パートの得点が166~249点)には、ディクテーション訓練の方が効果的。
  2. 中級後半学習者(TOEIC®のリスニング・パートの得点が250~330点)には、リスニング・ストラテジー訓練がより効果的。
  3. 複合指導法(ディクテーション訓練とリスニング・ストラテジー訓練の両方を同時に指導)は、中級学習者に効果がない。
  4. リスニング能力向上には、計画や内省、問題解決の3つのメタ認知能力が密接に関与している。
  5. メタ認知能力は、複合指導法では向上しない。
  6. メタ認知能力は、特別な訓練なしでは向上しない。
  7. メタ認知能力は、ディクテーション訓練では向上しない。

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